『デッドメール』は、探す価値のある薄汚れたレトロなホラースリラー

『デッドメール』は、探す価値のある薄汚れたレトロなホラースリラー

1980年代、中西部のとある町の、何気ない瞬間。鎖に巻かれた男が家から飛び出し、青い郵便ポストに向かって這い進む。かろうじて紙切れを差し込むも、背後にいたぼんやりとした人影に捕らえられてしまう。こうして『デッド・メール』が始まる。アナログな手法を意図的に落とし込んだ、斬新で型破りなホラー映画。舞台設定と、そこに漂う奇妙なムードを完璧に捉えている。

『デッド・メール』は、あの強引なオープニングからすぐに展開するのではなく、レトロな撮影技術や、世界観に完全に合致した自然なプロダクションデザインなど、細部にまでこだわった展開で展開していく。そして、郵便局のスーパースター社員である配達不能郵便調査員、ジャスパー(トーマス・ボイキン)が登場する。外見からはそうは見えないが、彼は奥の部屋にこもり、郵便で紛失したはずの貴重品の持ち主を系統的に追跡している。

しかし、彼の探偵スキルはCSI級の驚異的スキルだ。まるで映画『デッド・メール』の全編が、ジャスパーが国立気象局に電話して降水量を調べ、汚れた手紙が特定の場所を通過したかどうかを確認したり、外国人ハッカーに電話して車の登録番号を調べ、候補となる人物を絞り込んだりする様子を描いていたら、と思うほどだ。同僚のアンとベス(ミッキー・ジャクソン、スーザン・プライヴァー)は彼を天才だと考えており、彼の仕事ぶりを見れば、その理由もすぐに理解できる。しかし、これはジャスパーだけを描いた映画ではない。血まみれの紙切れが最終的に彼の謎リストに紛れ込むが、ジャスパーは当初それを投げ捨て、「犯罪捜査官として金をもらっているわけじゃない」と主張する。

デッドメール・ジャスパー
仕事中のジャスパー。© Shudder

『デッド・メール』は、鎖につながれた男が絶望的な手紙を送ったという苦境に深く根ざしているが、彼が助けを求める手紙を送るまでの一連の出来事を丁寧に描き出している。そして、型破りながらも魅力的なジャスパーのように、この映画のメインドラマに登場するキャラクターたちは、それぞれが個性的で独特な印象を与える。才能あるシンセサイザー・エ​​ンジニアのジョシュ(スターリング・メイサー・ジュニア)は、自分が音楽の革新性を発揮できると確信しているものの、それをどうレベルアップさせればいいのか分からず悩んでいる。そして、デモ演奏中に彼にそっと近づき、パートナーとコラボレーションすることを考えたことはあるかと尋ねる、年配の孤独な男トレント(ジョン・フレック)もいる。

ジョシュが囚人となり、トレントがジョシュの手紙を取り戻すために過激な行動に出る様子を見れば、物語の行方は既に明らかだ。しかし『デッド・メール』は、この二人の力関係を深く掘り下げようとしている。ジョシュが試作品をいじくり回す一方で、トレントは彼に最新鋭の機材を買ってあげ、大好物の料理を楽しく作るようになる。ジョシュは気づいていないかもしれないが、観客はトレントの興味が既に一線を飛び越え、非常に不健全な領域にまで達していることを既に知っている。そして、避けられない郵便受けへの手紙の瞬間、そしてその先に何が起こるのかを前に、緊張が高まるのを待ち続けるしかない。

『デッド・メール』は、シンセサイザーのプロットを巧みに利用し、スコアと劇中音楽の両方に電子音楽を用いている。ジョシュはパイプオルガンだけでなく木管楽器の音色再現にも強い関心を持っているため、この演出は、心に深く刻まれ、葬式のような効果を生み出している。二人の共演が長引くにつれ、不穏な空気はますます重くなっていく。しかし、トレントの自己永続的な心理劇は真空中で存在しているわけではない。(ジャスパーの通常のプロセスを妨げる状況もあるにもかかわらず)ジョシュの血まみれの小さな手紙が外の世界に警鐘を鳴らしているという意識が常に存在するのだ。

デッドメール・トレント
自宅にいるトレント。© Shudder

危険な執着を描いた物語は珍しくないが、『デッド・メール』は「悪の陳腐さ」を如実に物語る舞台設定を巧みに描いている。卑屈な見知らぬ人が、すぐには気づかないような不気味な視線を向けてくることもある。あるいは、デッドレター捜査官とその勇敢な同僚たちが、最高の「犯罪探偵」であることもある。これほど綿密に考え抜かれた視点とスタイルを持ち、これまで見たことのない作品に出会うことは稀だ。だからこそ、この作品を生み出した共同監督のジョー・デボーアとカイル・マコナギーに敬意を表したい。

『Dead Mail』は本日4月18日、Shudderで配信開始です。ぜひチェックしてみてください。

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