『ジョーカー:フォリー・ア・ドゥ』は、今週末の興行収入では予想外の不振に終わったかもしれないが、その結末は続編を見に行ったかどうかに関わらず、人々の話題をさらった。そして、物議を醸す結末ではあるが、どうやらオリジナル版のクライマックスでも似たような展開になるところだったようだ… クリストファー・ノーラン本人が断ったとされる点がなかったようだ。

『フォリ・ア・ドゥ』は、裁判が終結し死刑判決を待つ囚人アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)が、囚人仲間に刺殺される場面でクライマックスを迎える。アーサーが出血多量で倒れると、ぼんやりとした背景に囚人がジョーカーを彷彿とさせる笑い声を上げ始め、ナイフを自らの顔に突き立て、口元に笑みを浮かべる傷跡を刻む。これはまるで『ダークナイト』のヒース・レジャー演じるジョーカーのようだ。一人のジョーカーが倒れる時、別のジョーカーが比喩的に立ち上がる。しかし、新たな報道によると、この物議を醸したシーンが、トッド・フィリップス監督のオリジナル版 『ジョーカー』でも再現されそうになっていたという。
ハリウッド・レポーター誌が『フォリ・ア・ドゥ』の興行的失敗の余波を報じた最新記事の中で 、業界筋は、初代『ジョーカー』の脚本では、集まった支持者たちの前に立ち、おなじみの笑顔の傷跡を自らに刻むアーサーのシーンで幕が閉じられていたと主張する情報筋を引用している。しかし、このアイデアは却下された。フィリップス監督の指示でもワーナー・ブラザース監督の指示でもなく、当時ワーナー・ブラザース・スタジオのもう一人の監督、クリストファー・ノーラン監督の意向によるものだった。ノーラン監督は、故ヒース・レジャー版のジョーカーだけが笑顔の傷跡で区別されるべきだと考えていたという。
最初の『ジョーカー』の当時 、ノーラン監督とワーナー・ブラザースは非常に緊密な関係にあったが、2020年の新型コロナウイルス感染症パンデミックをきっかけにその関係は明らかに悪化することになった。監督は、ワーナー・ブラザースが2021年の劇場公開作品をスタジオのプラットフォームMax(当時の正式名称はHBO Max)で同日中にストリーミング配信する計画に難色を示したのだ。2020年にワーナーを通して自身の映画『TENET テネット』が劇場公開されたことにすでに不満を抱いていたノーラン監督は、その決定を公然と非難した最も声高で著名な監督の一人だった。昨年、ワーナー・ブラザースとの従来の配給関係を破棄し、批評家から絶賛された大ヒット作『 オッペンハイマー』をユニバーサル・ピクチャーズに持ち込んだ。
つまり、 『フォリ・ア・ドゥ』の製作が進む頃には、ノーランはワーナー・ブラザースに、映画のクライマックスで少なくとも誰かが傷つくシーンをカットする権限など与えられていなかったということだ。もしアーサー演じるジョーカーが自ら傷を負うシーンだったら、あのシーンはもっと物議を醸しただろうか?それとも、あの突拍子もない結末のどんでん返しは、彼を劇中から突然消し去るという点に重点が置かれているのだろうか?今となっては真相は分からないが、一つ確かなことは、クリス・ノーランにこの件についてどう思っているか聞かないように、ということだ。彼はきっと答えないだろう。
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