アメリカの夏の最高気温記録は、ダストボウルの最悪期であった1936年以来破られていません。しかし、2021年は干ばつ、火災、そして苦難に見舞われたシーズンの中で、85年間続いたその記録を塗り替えました。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)の最新データによると、この夏のアメリカ本土48州の平均気温は華氏74.0度(摂氏23度)でした。これは長期平均より華氏2.6度(摂氏1.4度)高く、1936年の夏よりもわずかに暑い数値です。NOAAは外交的に「事実上同点」と表現しましたが、100分の1度単位で測れば、確かに妥当な数字と言えるでしょう。
ダストボウルの猛暑は、長らく気候変動否定論者たちのお気に入りのネタとして扱われてきました。否定論者のブログやTwitterのスレッドに足を踏み入れれば、必ず誰かが「ダストボウル史上最も暑い夏だ、リベラル派の皆さん、チェックメイトだ。#MAGA」といった発言をします。残念ながら、この論点は今や歴史のゴミ箱に捨てられていますが、彼らはきっとゴールポストを動かす方法を見つけるでしょう。
現実世界に生きる私たちにとって、この夏はまさに地獄の夏でした。華氏74度(摂氏約22度)は心地よい気温に聞こえますが、92日間で810万平方キロメートル(約810万平方キロメートル)の面積を平均気温で覆うなんて、誰も経験したことがありません。それどころか、アメリカ全土で何百万人もの人々が、記録を塗り替える灼熱の暑さに長期間晒されました。地獄のような夏は北西部で始まり、記録破りの猛暑が続き、カリフォルニアと南西部は度重なる熱波に見舞われました。中には、地球上で記録された史上最高気温に並ぶ猛暑もありました。
特に北西部は、6月に気温が3桁に達する猛暑に見舞われ、検視官が「大量死傷事件」と呼ぶ事態を引き起こしました。これは通常、飛行機墜落や銃乱射事件を指す用語です。この地域とカリフォルニア州全域で山火事が発生し、1200年ぶりの深刻な干ばつは西部の大部分でさらに悪化しました。

猛暑は他の地域でも生活をほぼ耐え難いものにしました。南部だけが猛暑から比較的逃れることができましたが、それでも他の気象災害との闘いは続きました(そして、猛暑から完全に逃れられたわけでもありません)。アメリカが孤立したホットスポットだったというだけではありません。7月は世界史上最も暑い月となり、複数の地域で焼け、焼け焦げ、そして乾燥が見られました。
気候変動により猛暑はより過酷になっており、この夏は米国全土でそのことをさらに強めました。これは、炭素汚染を削減するという科学者の呼びかけに世界が耳を傾ける必要があるという警告となっています。さもなければ、さらなる被害を被ることになります。最近の気候変動に関する政府間パネルの報告書は、過去 1 世紀以上にわたり世界が化石燃料を燃やしていなかった場合と比べて、50 年に 1 度の猛暑が発生する可能性が現在 5 倍近くになっていると警告しています。パリ協定の目標を達成したとしても、そのレベルの暑さが発生する可能性が 14 倍近く高くなることを意味します。この夏の災害とこの調査結果を合わせると、排出量の削減が今世紀に世界が行う必要がある取り組みの一部であることがわかります (もちろん、主要な部分ですが)。また、今後数十年間でさらなる猛暑に適応しなければ、さらに破壊的で致命的な夏に直面することになります。