デッドプールとウルヴァリンの感動的なクライマックスの裏にある魅力的な物語

デッドプールとウルヴァリンの感動的なクライマックスの裏にある魅力的な物語

合唱団がマドンナの「ライク・ア・プレイヤー」を歌う。デッドプールはタイムリッパーを破壊しようとするが、自力では不可能。そこにウルヴァリンが登場し、リンクを完成させ、二人の運命を決定づける。二人は世界を救うために自らを犠牲にしていると信じている。これは迫力あるシーンであり、『デッドプール&ウルヴァリン』の大きなフィナーレとなるが、このシーンがそこに到達するまでには長い時間がかかった。io9は『デッドプール&ウルヴァリン』の編集者の一人、シェーン・リードにインタビューを行い、映画のクライマックスに至るまでの興味深い試行錯誤について語ってもらった。

ビデオチャットでリードと話した際、主演のライアン・レイノルズと監督のショーン・レヴィは最初から「ライク・ア・プレイヤー」をリプライズするというアイデアを持っていたと説明してくれた。しかし、当初は実際にどんなサウンドになるのか全く分からなかったため、リードは違うことを試してみることにした。「彼らにたくさんのアイデアを提示したんだけど、ジャーニーの『セパレート・ウェイズ』との繋がりを思い出して、どうしても使いたかったんだ」とリードは語る。「『パワールームに入って曲が流れてきた時、このシーンはこういうことなんだ』って思ったんだ。すごく面白い。腹筋も見えるし、80年代のアクション映画を彷彿とさせる。それを思う存分楽しもう。この曲は僕たちを笑わせてくれるんだ」

リードは権力者たちにこの企画を売り込み、驚くべき反応を得た。「セットでライアンとショーンのところへ行ったら、『オーケー、それでこれからこうなるんだ。君たちはこれをやってくれ。マドンナをやる。あれとこれとこれをやる』って言われたのを覚えているよ。僕は『わかった。でも、ジャーニーの『セパレート・ウェイズ』も考え始めているんだ』って答えたら、彼らは『うっそー! オーケー、それもやってくれ。僕も見たい』って感じだった。まさに彼らがクリエイティブ・パートナーって感じだね」

「それで、そういう流れになったんだ」とリードは続けた。「みんなを説得した。紛れもなく楽しかった。VFX部門も来て見ていたし、廊下のあちこちでその音が響いていた。ショーンは夢中だった。その後、フィルムの編集作業があったんだけど、あのエンディングシーンは、男たちがただ繋がって爆発するシーンだけで撮られていたんだ。ライアンにフィルムを流したんだけど、あのシーンは…こんなに自分にがっかりしたことはない。ただのミュージックビデオみたいで、中身がなかった。大事な瞬間に向けて盛り上がっていたのに、完全に台無しになった。だから、あのシーンについてもう一度真剣に考え直して、『このシーンの核は何なのか? 何をやっているのか? 何が重要なのか? その重要な部分をどう表現するのか?』と自問自答しなければならなかったんだ」

ウルヴァリンとデッドプール
© マーベル・スタジオ

この会話は、映画のマーケティングが展開し始めた頃に生まれました。リードはレイノルズの家でスーパーボウルを観戦しました。そこは映画の初公開場所でした。帰り道、彼はあることに気づきます。「まるでレンガを山ほど積み上げたような衝撃を受けました」と彼は言います。「『エターナル・サンシャイン』では、実用的なアイデアを駆使して時間を消し去るという素晴らしい演出をしていました。そこで、私たちはそこから着手しました。ウェイドが命を落としていく様子を視覚的にどう表現するか?『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の写真についても話し合いました。これを視覚的にどう表現するか?それがとても興味深いことになりました」

リードは、デッドプールの人生における喪失を表現するために、過去2作の『デッドプール』の映像や本作の初期のシーンを掘り下げ、加工し始めた。そして、シーンが形になり始めた。「デッドプールで、本当に美しい瞬間を作り上げたんです」とリードは語る。「マドンナを歌ったオンライン合唱団を見つけたので、それを出発点として何かを作り上げ、雰囲気を理解し始めることができました。『よし、これはもっと何かが欲しい気がする』と思いました」

しかし問題は、この映画は『デッドプール3』ではないということだ。 『デッドプール&ウルヴァリン』なのだ。「『デッドプール』でやるなら、ウルヴァリンでもやるべきだ、と考えたのはケヴィン・ファイギだったと思う。もちろんショーンもそうだが、その二人のコンビがいたんだ」とリードは語った。「これは二人の男の物語でなければならない。平等に構築し、彼らの旅が報われていると感じられるようにしなくてはならない」。しかし、ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じる映像は数多く出回っているものの、そのどれもが、このバージョンのヒュー・ジャックマンのウルヴァリンではない。

「『ウルヴァリン』は前作の『ローガン』を引き継げないので、より困難でした」とリードは語った。「前作の『ローガン』を引き継げないのは、彼が本来の姿ではないからです。ウェイドの誕生日パーティーのような雰囲気の演出がなかったので、トリックや皿を使ってヴァネッサが消えたような雰囲気を演出することができませんでした」

ダフネ・キーン X23 デッドプール
デッドプール&ウルヴァリンのダフネ・キーン– マーベル・スタジオ

映像はどこから来るのか?答えは目の前にあった。「映画を通して耳にしてきた言葉について、じっくり考えてみたんだ」とリードは語る。「『君は絶対に重要じゃない』とか『やっと重要になれる』とか、心に響く瞬間を。それらをまとめて、そこに映像を重ねていった。そして気づいたんだ。『ああ、編集室でカットし損ねたシーンには、ウルヴァリンが地面に落ちていた写真を見つけてそれを見るシーンがあった。それは映画の中にあったんだけど、タイミングの関係でカットしたんだ。それから、キャンプファイヤーでダフネ(キーン役のX-23)が『あなたはいつも間違った男だった、そうじゃないまで』って言うシーンもカットした。あのシーンはピリオドではなくコンマで残したかったんだ』

「それで、観客として、私たちが目撃したシーン以外にも、彼らの人生の様々な瞬間を見ているのなら、それはこれからも続くべきだと考え始めたんです」とリードは語った。「観客がこれまで見てきたものを超えた瞬間を見つけ始めたんです。それから、ヒューが『私はX-メンだ』と言うシーンは、もともとカサンドラとのシーンだったのですが、それを削除して取っておき、彼が運命を受け入れる瞬間にしようと決めたんです。つまり、観客にとって新しい情報だと感じたものを、すべて引き出すという構成だったんです。冗長だったり繰り返しすぎたりする感じではなく、一瞬でも彼らの魂に入り込み、力強く感動的な何かを残せるようにしたんです」

ミッション完了。『デッドプール&ウルヴァリン』が劇場で公開中です。

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