この2インチのダイヤモンドディスクには、ブルーレイディスクに匹敵する驚異の10億枚分のデータが保存できる

この2インチのダイヤモンドディスクには、ブルーレイディスクに匹敵する驚異の10億枚分のデータが保存できる

ハードドライブ、SSD、RAID を今すぐに捨てる必要はありません。精密な宝石ベースの産業用ツールの製造に専門知識を持つ企業が、佐賀大学の研究者と提携して、驚異的なストレージ容量を備えたメモリを含む量子コンピューティング アプリケーションに使用できるほど純粋で十分な大きさのダイヤモンド ウェハーを作成しました。

4TBものデータが手のひらに収まっていることに驚嘆する一方で、ストレージ技術の飛躍的進歩は、年々目に見えるわずかな容量増加など取るに足らない進歩に思えてしまうほど、はるか遠くに迫っています。量子コンピューティングはまだ初期段階にあり、もしかしたらまだ発展途上なのかもしれません。しかし、コンピューティング能力に関しては途方もない可能性を秘めています(量子コンピューティングに関する包括的な解説記事はこちら)。これはストレージにも当てはまります。しかし、これらのシステムを構築するための適切な材料の発見など、克服すべき課題は数多くあります。

ダイヤモンドは、窒素空孔中心と呼ばれる構造欠陥を有し、室温でデータをキュービット(量子ビットの略)として保存できるため、量子コンピューティングの記憶媒体として大きな可能性を秘めています。しかし、研究室でダイヤモンドを製造するプロセスは窒素に依存しており、最終製品に含まれる窒素の量が多すぎると、キュービットを安定的に保存する能力が低下する可能性があります。量子コンピューティング用途でダイヤモンドを使用するには、窒素濃度が3ppb未満という極めて高い純度が必要です。しかし、これまで、このレベルの純度を持つダイヤモンドウエハーはわずか4ミリメートルの大きさに限られており、実用化には小さすぎます。

Illustration: Adamant Namiki Precision Jewel Co., Ltd.
イラスト:アダマンド並木精密宝石株式会社

しかし、アダマンド並木精密宝飾株式会社は佐賀大学の研究者と協力し、窒素純度3PPB未満で2インチサイズのダイヤモンドウエハーを製造できる新たな製造プロセスを開発しました。その鍵は、ダイヤモンドウエハーが成長する表面材料であるサファイア基板に、ダイヤモンド結晶が成長するにつれて横方向に広がるように傾斜した段差構造を作ることでした。これにより、品質低下の原因となる応力や割れが低減されます。結晶の成長速度を加速するために窒素ガスが用いられますが、この新しい手法により必要な窒素量を最小限に抑え、最終的なダイヤモンドウエハーの純度を向上させることができます。

量子メモリ技術を用いることで、2インチのダイヤモンドウエハーに、ブルーレイディスク10億枚分、つまり約25エクサバイトのデータ密度を格納できると推定されています。これは驚異的な数字であり、理論的には世界のデータストレージ需要を満たす可能性を秘めています。しかし、アダマント並木精密宝飾株式会社がこの新しい製造技術を早ければ来年にも商用化する計画があるにもかかわらず、25エクサバイトのデータを搭載した新型スマートフォンが注文できるようになるまでには、まだかなりの時間がかかるでしょう。

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