ワシントンD.C.在住の男性が、技術的なエラーにより3億4000万ドルの賞金を獲得できなかったとして、パワーボール宝くじシステムとワシントンD.C.宝くじ賭博局を相手取り訴訟を起こし、宝くじ運営者らを共謀、過失、詐欺の罪で訴えている。
訴訟において、原告のジョン・チークス氏は、2023年1月6日に翌日に当選発表が行われる予定のパワーボール宝くじを購入したと主張している。チークス氏は1月8日にDC宝くじのウェブサイトを確認し、自分の番号が当選番号に選ばれ、3億4000万ドルのジャックポットを受け取る権利を得た。しかし、チークス氏が賞金を請求しようとしたところ、当選していないと告げられた。
「『おい、このチケットはダメだ。ゴミ箱に捨てろ』と」とチークス氏はワシントンD.C.宝くじ・賭博局から言われたとNBCワシントンが報じた。「私は(職員を)厳しい目で見て、『ゴミ箱に?』と聞いた。すると(職員は)『ああ、そうだ。捨ててしまえ。給料は出ない。ゴミ箱はすぐそこだ』と言った」

DCの宝くじ運営者によれば、チークスさんの当選番号は、地方自治体に代わってDC宝くじのウェブサイトを運営するデジタル広告代理店兼請負業者であるタオティによって誤って掲載されたとのことだ。
チークス氏からも訴訟を起こされているタオティは、チークス氏の番号は品質保証テストの一環としてDC宝くじのウェブサイトに掲載されたもので、「2023年1月7日のパワーボール抽選で当選した番号ではなかった」と主張している。さらにタオティは、誤った番号は公式抽選の前日である1月6日に掲載されたと主張している。タオティは、チークス氏の番号をオンラインに掲載してから3日後の1月9日に、DC宝くじのウェブサイトからチークス氏の番号を削除した。
チークス氏の弁護士であり、マッカーシー・ウィルソン法律事務所のパートナーであるリック・エバンズ氏は、DC宝くじ運営者の主張を受け入れていない。声明の中でエバンズ氏は、パワーボールもDC宝くじも、1月7日の抽選が不正に操作されたという公共広告を一切出していないと指摘した。
「彼らは、チークス氏の当選金を根拠に行われた次回のパワーボール抽選のチケット販売を一度も止めませんでした。当選金は支払われず、チークス氏にも一般の人々にもその誤りを一切公表しませんでした。もし実際にそうなったのであれば、彼らはプレイを中止せず、不正抽選で当たったすべてのプレイヤーに払い戻しを申し出ることもありませんでした」とエバンズ氏は述べた。

タオティの創業者兼CEOであるブレント・ライトナー氏は水曜日、ギズモードへのメールで、係争中の法的事項については「いかに些細なことであっても」コメントできないと述べた。タオティはチークス氏による不正行為の疑惑を否定し、チークス氏は1月7日の抽選前に誤って投稿されたテスト番号を使ってパワーボールのチケットを購入したと主張している。
ギズモードは水曜日の朝、DC宝くじ・賭博局と、訴訟でも名前が挙がっている全国規模の宝くじ運営を支援する非営利団体、Multi-State Lottery Associationにコメントを求めたが、すぐには返答は得られなかった。
エバンズ氏は、この訴訟は、宝くじ運営においてこの種のミスを防ぐための安全対策が欠如しているという重要な問題を提起していると述べた。チークス氏は裁判所に対し、パワーボールのジャックポット3億4000万ドル全額と、さらに数百万ドルの損害賠償金の支払いを求めている。この訴訟の次回の審理は今週金曜日に予定されている。
「これは単にウェブサイト上の数字の問題ではない。人生を変えるような機会を約束し、その過程で莫大な利益を得る機関の信頼性の問題だ」とエバンズ氏は語った。