LTE から 5G への移行が進む中、Qualcomm は、最大 10 ギガビット/秒のデータ速度を実現できる世界初の 5G モデムを発表しました。
7.5Gbpsの速度を実現するQualcomm X60モデムを搭載したQualcomm Snapdragon 888チップを搭載したデバイスが、市場に登場し始めています。Qualcommの次世代X65モデムは、これまでイーサネットや光ファイバーブロードバンドといった有線インフラでしか実現できなかったレベルの転送速度を実現することで、5Gの速度をさらに向上させます。
X65 が 10 ギガビットの速度を実現できる主な機能には、新しい第 4 世代 QTM545 アンテナのサポート、幅広いキャリア アグリゲーション技術 (FDD と TDD を含む)、AI アンテナ チューニング、モデムからアンテナへのシステム認識を使用してさまざまな 5G バンド全体でアップロード速度とカバレッジの両方を最適化する Qualcomm の新しい Smart Transmit 2.0 などがあります。

さらに、アップグレード可能なアーキテクチャのおかげで、Qualcommは3GPP仕様の最新リリースに合わせてX65をアップデートする準備がより整い、今後数年間でさらに速度を向上させる可能性が高まります。また、X65は世界中のデバイスでの使用を想定して設計されているため、米国で使用されているmmWaveおよびサブ6GHz帯に加え、世界の他の地域で使用されている5G帯域もサポートしています。
一方、X65モデムの電力消費を抑えるため(5Gはバッテリーを大量に消費する傾向があるため)、Qualcommは「次世代電力追跡ソリューション」とPowerSave 2.0を搭載しました。PowerSave 2.0は、Connect-Mode Wake-Up信号などの新しい低消費電力プロトコルを使用してエネルギー効率を向上させます。また、10Gbpsの速度ではニーズに応えられないという方のために、QualcommはX65の廉価版であるX62 5Gモデムも導入しています。
ただし、X65 5Gは最適な条件下でも最大10Gbpsに対応できるものの、現在の5G速度は1.5~2Gbps程度にとどまり、近くの基地局から離れるほど速度が急激に低下するという点も留意しておく必要があります。範囲は広いものの最高速度がはるかに低いサブ6GHz帯の5Gを使用している場合、1Gbpsに近づくことはまずないでしょう。つまり、非常に高速なワイヤレスデータ通信をサポートできる技術があるのは素晴らしいことですが、Qualcommの新しいモデムを最大限に活用できる5Gネットワークが実現するまでには、まだしばらく時間がかかるでしょう。